* カバー・トリビュート盤 : はっぴいえんど

25th.503-508 : 名無しのエリー2011.09.09.

(Disc.1)

1.あしたてんきになれ(チャカ)★★★★☆

東京スカパラダイスオーケストラの面々による豪華なホーンが賑やか。アレンジもいたってシンプル。
変な合いの手が入ったりして何故かパーティーソングみたくなってる。
しかし元が変化球な歌い方でアレンジも地味目だったので、むしろこっちの方が曲の良さが素直に出てるような。

2.夏なんです(楠瀬誠志郎)★★★★★

この人はまさにJ-POPで華やかな「ほっとけないよ」くらいしか知らなかっただけにこのアレンジは驚き。
静かな日本情緒溢れる環境音をバックに、アコーディオン風のバッキングと優しげで力の抜けた歌い方。
原曲の夏のけだるさとは違った、涼しげな雰囲気が曲の別の魅力を最大限引き出したナイスカバー。

3.風来坊(THE真心ブラザーズ)★★★★

妙なサンプリングで変態的で楽しげな感じは個人的に真心ブラザーズに持ってたイメージにピッタリ。
どうやらこういうのはこのトリビュートで初挑戦らしいけど。
力の抜けたアレンジは歌詞のマイペースっぽさと良い感じにマッチする。

4.花いちもんめ(区麗情)★★★★

シンプルなピアノとアコギをバックにのびのびと歌う。
なんかはっぴいえんどのカバーとなると自動的にこんなアレンジで溢れかえるイメージなんだけど、
これはパーカッションを使うところが肝だと思う。
なんとも言えないまったりさが聴いてて癒される。歌も心地良い。

5.風をあつめて(塚本晃(HEAVEN))★★★★★

力強く躍動感のある打ち込みのドラムが印象的で、それに引っ張られるように陽気な曲調。と思いきや、怪しげな間奏もあり。
歩くスピードにしっくりくるようなリズムが心地よく、原曲の世界観を壊さずに新たなテイストを付加する素晴らしいカバー。
個人的に数ある風をあつめてのカバーの中でベストかも。

6.しんしんしん(種ともこ)★★★★☆

不気味な雰囲気のある曲調。というかこの人が歌うだけでそれなりの雰囲気が出る。これはちょっとずるい。
打ち込みの音からは何とも言えない浮遊感が。自らの世界観に引き込むのが上手い。

7.かくれんぼ~はいからはくち(SCANCH)★★★★

はいからはくちはエンディング的にさらっとアウトロで流れる程度なので、トラックのほとんどがかくれんぼの方。
このサイケな感じははっぴいえんどそのものからの影響をちょっと感じる。リスペクトしてる感じが出てる。
にしてもちょっと長いけど。
はいからはくちの方はロックンロールしてる。ツェッペリン風のブルージーなギターが心地良い快速ナンバー。

8.空いろのくれよん(渡辺満里奈)★★★★★

まさかのレゲエ。原曲三拍子なのに何がどうなってこんな発想が出てきたのか。
しかも滅茶苦茶良い。ボーカルの拙さもヘロヘロ感が出てて不思議な趣深さが。
これは間違いなく必聴。

9.12月の雨の日(GARDEN)★★★★☆

ビリーバンバンみたいな80年代な雰囲気を感じるしっとりアレンジ。
フォーキーで荒々しい原曲とは逆に、落ち着いた整然としたサウンドはメロディの良さを上手く引き出している。
古臭いと感じる人もいるだろうけどこれはこれであってもいいアレンジじゃないかと思う。何より聴いてて心地良い。

10.さよならアメリカ さよならニッポン(ズビズバンズ)★★★

延々と同じフレーズを繰り返しつつ、少しずつアレンジを変えたりしながらまったりと進む。ギターの独特の浮遊感が印象的。
長すぎる気もするがまぁ締めとしては悪くない感じ。

(Disc.2)

1.ふうらい坊(吉田美奈子)★★★

「MINAKO II」収録。原曲よりファンキーな曲調ははっぴいえんどのふわふわした原曲より小坂忠バージョンに近いと思う。
演奏力も歌唱力もずば抜けて高い。流石これだけで高評価。
ただそれほど面白いアレンジじゃないので、個人的にそんなに好きじゃない。

2.明日天気になあれ(吉田美奈子)★★★

同じく「MINAKO II」収録。前曲に続いて始まる。
よりグルーヴィーな演奏は魅力的だけどこれもアレンジ自体は保守的であまり面白くない。

3.あしたてんきになれ~雨ふり~相合傘(矢野顕子)★★★

「ピヤノアキコ。」収録。
「あっこれ矢野顕子だな」とイントロのピアノ聴いただけで思える流石の個性。やはり評価は矢野顕子が好きか嫌いかで決まりそう。
ただはっぴいえんど細野曲のファンキーな部分がなかなか嵌まってる。

4.夏なんです~氷雨月のスケッチ~かくれんぼ(裕木奈江)★★★

「evergreen」収録。うーんこれも普通のカバーといわざるを得ない。
これなら大外しも無いだろうけど、わざわざカバーのバージョンを聴こうとは思わないかなぁ。

5.暗闇坂むささび変化(小坂忠 with葡萄畑)★★★★

「Chu's Garden」収録。軽快な原曲とは裏腹に、何かドタドタしたかわいらしいアレンジ。
これは意外としっくり来る。コミカルでまったりで聴きやすい。
実力者が揃ってる感じだけど、緩めの演奏なので肩肘張らずに聴けて良い。

6.相合傘(清水ミチコ)★★★★

「歌のアルバム」収録。何故か矢野顕子のモノマネ。これは凄いw 本人と聴き間違えてもおかしくない。
悪く言うなら個性はほとんど感じられない。モノマネだから仕方ないけど。
ちょっとピアノがもたついてるのは仕方ないか。でも凄い。中盤の語りww

7.かくれんぼ(太田裕美)★★★

「キャンディ」収録。美しい独特の響きのアコギのアルペジオが不思議な世界観を作る。
静かで神秘的。所々きれいな効果音が入るのも美しさを引き立ててる。

8.外はいい天気(SATELLITE LOVERS)★★★★★

「SONG OF 1973」収録。退廃的でやたら音の隙間が目立つ。
延々と聴いてると単調なリズムと何かちょっと浮いてるピアノの音が心地良くなってくる。
はっぴいえんどにこういう打ち込みを中心にして、ちょっときれいにしたみたいなアレンジは合わないと思ってたけど、これはかなり嵌まってる。

9.風をあつめて(玲葉奈(Leyona))★★★

「Niji」収録。アコースティックな音を基調にしたアレンジ。
あまりに普通すぎて大した聴き所があるとは思えない。確かに原曲とはちょっと違うけど、うーん普通。
あと鹿島達也のベースが凄いと思うけど埋もれてて聴き難いのが残念。

10.愛餓を(ピチカート・ファイヴ CLEMENTINE)★★★★☆

「さ・え・らジャポン」収録。お洒落ボサノバなラウンジ。
ウィスパーなボーカルがなんとも艶やかで、原曲の地味さからは考えられなかった華やかさ。
個人的にこれと8だけがDisc1と一緒に聴いても違和感無いと思う。

総評.★★★★(disc1:★★★★☆ disc2:★★★☆)

93年に発表したはっぴいえんどのトリビュートアルバムを、2010年にDisc2を追加して再発した二枚組。
Disc2はそれぞれのアーティストがそれぞれのアルバムでカバーしたもの。そのせいで寄せ集め感が凄い。
その上、正直あまり個性を感じないのが多い。演奏は凄いの多いんだけどね。
個人的にはそれほどいらなかったけど、まぁ聴き応えはあると思う。
しかし素晴らしいのはDisc1。
それぞれのアーティストがしっかりと個性を出し切り、原曲の別の魅力を思う存分引き出してる。
ここで名前を売っておこうとかそういう邪心が全く見えなくて、全員が全員、全力を出してリスペクトしてる感が出ていて凄く好感を持てる。
これははっぴいえんどを知っているなら間違いなく一聴の価値あり。
参加アーティストの豪華さ的に「HAPPY END PARADE」の方が有名なトリビュートアルバムだろうけど、
個人的にはこっちの方が断然良かった。
でも商魂逞しいDisc2無しでもうちょっと安価で再発して欲しかった。ちょっと高いよ。

(★:2点,☆:1点の計10点満点。)