* アーティスト名 : りんとしてしぐれ

14th.551-552 : 名無しのエリー2007.05.06.

1.想像のSecurity★★★★☆

しょっぱなのギターから鋭すぎる、その直後に割り込んでくる高速硬質ドラム。
男性ボーカルTKの甲高い声、それを追い越すように乱入してくる女性ボーカル345がキンキンにのどを鳴らす。
「入らない鍵穴に無理やりガチガチ鍵を突っ込むような音」とは友人談。
二者の追いかけっこのようなサビの部分がこの曲の肝、是非視聴あれ。
345が歌い始めるとドラムがリズムを上げるのが、「ついてこれるか」と喧嘩売っているようで快適。

2.感覚UFO★★★★

割れまくったベースがうねって始まる感覚UFO。全ての曲に言えるのが、どの楽器も自己主張が激しすぎること。
一つ一つの楽器がお互いを押しのけて目立とうとして、バランスが崩壊するギリギリまで高く尖っている。
そんな自己主張の激しい楽器達が瞬間一体となって刻むカッティングが最高。
Aサビ後のアルペジオでペースを落とし、再度突き抜けていって打ち止め、その後に345が大サビを受け持つ構成は見事。
余韻として残るギターの残響がたまらない。

3.秋の気配のアルペジオ★★★★☆

「あれがあなたの好きな場所」なんて始まり方はしない。
感覚UFOの余韻を「ジャジャ!」と鋭角に切り取って、意外にもポップな展開と、ボーカル並の大音量で揺らめき続けるアルペジオ。
2:41からの345のサビ、それを引き継ぐTK、最後に重なる二つの高音ボイス。快感。

4.ラストダンスレボリューション★★★★

うすうす感づいてる、これ信者レビューだ。Cメロまでいく曲の多いアルバムだが、曲調が二転三転するのがこの曲。
2:11で囁くような歌い方になる(囁いても高音)が、そこから元には戻らない。というかここからが真骨頂。
この変容ッぷりはXのBLUE BLOODも目じゃない。
テンポが極まったラストの「トワイライトスピードで」という感覚的過ぎて通常では理解できない歌詞。
これが「言われてみれば確かにコレはトワイライトスピードだな」と幻惑させられる程度には引きずり込まれた。

5.Serjio Echigo★★★★★

「足が止まってますね、替えたほうがいいですよ」でおなじみのセルジオ越後。タイトルにそれ以上の意味はない。ほんとに。
6分以上に渡る壮大なスケールの曲で、ここまでに比べて低く、低く、低く進攻する楽曲は、クラシックの重厚性を髣髴とさせる。
突如イースタンユースのような叫び声に「来たか!?」と構えてもまだ潜航を続けるカタルシスが、ラストに345によって解き放たれる。
「行方知れず青木華絵 背中見せて少し笑う」
誰だ。

総評.★★★

全てのバンドにはピークがあって、その初期衝動は取り戻せないんだと思う。
凛として時雨のピークはここだと確信させる不安定さ。この鋭さが消える前に一曲でも多く作ってほしい。
5曲、実際7曲分くらいのメロディが詰まっているが、似ている。
「耳鳴りが気にならないくらいうるさい」とは母親談。鍵穴にハマる人はともかく、ハマらない人にとっては苦痛になりえる。
ハマった自分ですら聴いてて疲れたので総評を考えると星三つ。

(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

15th.530-532 : 名無しのエリー2007.08.31.

1.nakano kill you★★★★

ニコニコでドコドコ弾幕必至、超スピードのツーバスで開幕するInspiration is DEAD。
親の敵かと言うくらい踏みまくるドラマーのピエール中野。
「君に君を殺してほしい」
自分自身が上げてったテンポに追い詰められて、気持ちよさそう。

2.COOL J ★★★

轟音リフから高速ドラム、そしてアルペジオを「ジャ」「ジッ」と数回切り取って始まるこの曲は玉筋クールJ太郎の略らしい。
ペースダウンさせるときのアルペジオ、高音域を交互に受け持つ345とTK、時雨らしさ満開。

3.DISCO FLIGHT ★★★★☆

トレモロ(?)が効きまくったアルペジオを繰り返すのでどこから反復しているのか分からなくなったらすでに引き込まれている証拠。
アルバムの核をなすポップな高速ソング。TKの哀願するような叫びが消える前に345が上から塗りつぶす光景は見事。

4.knife vacation ★★☆

昔のビジュアル系がやってもおかしくないようなメロディラインを、
やっぱりどこかで聞いたことがあるような音のギターで描くイントロが古臭い。
チキチキとやかましいドラムに対してベースが大人しいのがイマイチ。
サビまで行ったと思ったら次の展開に入ってさらに大サビを持ち出すお得意の構成は健在。

5.am 3:45★★★☆

ACIDMANがやるようなインスト曲に、345の萌え声ソロが無重力に遊泳する。
このバンドのメロウな曲は珍しいが、音がイガイガしているので耳休めと言った感じではない。
同じメロを何度も繰り返していくうちに少しずつ重ねていって厚くしていく展開はおなじみだが彼らにとっては新境地か。
こういうのも向いていると思う。

6.赤い誘惑 ★★★☆

2:42辺りから切り替わった後がこの曲の真髄。
3:26の叫びが高くなりすぎてたどり着けなくなった所で345その上を軽々と越えていく所で感じるエクスタシーは流石。

7.1/fの感触 ★★

人を不安にさせるようなAメロのベースリフが不気味。1/fどころか、裏拍でチッチッと鳴らし続けるピエールが不快。
泣きゲーのような展開の大サビの(特に345のコーラス)を効いてるとシットリとした作りにしても良かったのでは無いかと邪推してしまう。

8.i not crazy am you are ★★★★☆

このレベルの楽曲は前作UFOだったら並のクオリティだったが他のアルバムに入るとやはり際立つ。
高音高速のボーカル二人の重なりあい、バンド一体となって刻むカッティング、一瞬でブレーキをかける緩急。
お互いの音を削りあうかのような楽器と声。

9.夕景の記憶 ★☆

syrupの「明日を落としても」のように落ち着いたコード進行の繰り返しでどこまでいけるか。
このアルバム中ずっと聞かされた、手癖のアルペジオ、ミディアムテンポのこの曲でもドンシャリが激しいドラム。そして345無し。
大人しい曲を歌うにはTKの声は気持ち悪い。
このバンドは歌詞で勝負することをあまりしてきていないので、
リスナー側に歌詞から感動を得るという思考がゼロになってしまっているのも敗因。
後半でドラムがリズムを上げたあとで、前作のセルジオ越後のような爆発が待っているのかと思いきやそれも肩透かし。
スルメにもなりきれなかった曲。
実験としては失敗気味だが、ラストの裏切りが無い展開も新鮮だしもっと挑戦してほしい。

総評.★★☆

弾き手も聴き手も構わず切りつけるような鋭さは消えかかっている。単純に慣れの問題かもしれないが。
思うに前作は3人がそれぞれ尖ろう尖ろうとしながらギリギリのところでバランスが取れていた。
今回はドラムの主張が突き抜けすぎて逆に刃先が丸くなってしまっている。
ファーストアルバム「♯4」のような、板やすりで薙がれるような傷跡はもはや望めない(あれは演奏の拙さと勢いから出ていたんだと思う)
演奏技術が上がったため今のままでは狭すぎる、今後もう一段上のステージの時雨を見せてくれるか、別の顔を見せてくれるかに注目。

(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

21st.425-427 : 名無しのエリー2009.05.18.

1.ハカイヨノユメ★★★☆

高音男ボーカル、手数が異常なドラム、さらに高音な女ボーカル、急静止、男ボーカルささやき、男ボーカル絶叫、
自己紹介に必要な要素は全部詰め込みました。
さらに今回、露骨にギターが二本使われていて音が太くなりました。
手数はともかく3:07からのバスドラ連打のもたつきが素人でも気になったりと、不安定な面も多少残っています。
良いか悪いかはおいておいて。

2.Hysteric phase show★★★☆

【位相】振動の過程がどの段階にあるかを示す変数Telecastic fake showと位相のズレた関係と思われるこの曲、
はたしてイントロのエフェクターはまさに。

3.Tremolo+A★★★★

しかしトレモロエフェクトで始まらないTremolo+Aはまさかのアコギ曲。高速16拍のコードストロークもトレモロ奏法と呼ぶのだろうか。
新ジャンルフラメンコロック、ロドリーゴ イ ガブリエーラよりもエースコンバットな風合いの。
ドラムも「コッコッ」とリムショットを多用して曲調に追従。

4.JPOP Xfile★★★★

前曲からの流れをギター一発で切って落とすのは得意芸。
めまぐるしく色を変えるTKのギターと、バンド全体での急制動・急加速、交互に重ねあうツインボーカル。
「冷凍都市」ほどのインパクトは無いが、「夕景」「~tic」などのおなじみのフレーズも多用しており既存のファンがしっくりくる作り。

5.a 7days wonder★★★☆

ベースがやたらブリブリとした機械的な音でリフを担当。
3ピースにこだわっておらず、エレキとアコギの併走にピアノが紛れ込んでいたりと、
TKがやりたいことを全て試していて、それはおそらく成功している。

6.a over die★★

聞くたびにどこで金切声が入ってくるのかなと身構えてしまうが、インストである。
時雨ではTKの変態声と345の頑張ってる声(今作では加工されているっぽいが)が楽器として扱われているので、
必要なものが足りていない気配。

7.Telecastic fake show★★★★☆

これがメジャーデビュー曲。
サスペンスドラマのオープニングのような、めまぐるしいフラッシュイメージが浮かぶイントロ。
このお披露目で世の中の人がどう捉えたかわからないが、
少なくともドラムは
「タンタンタンタン」「  」「シャンシャンシャンシャン」「カッカッカッカ」「ツタツタツタツタ」「ッツ ダララララ」
えらく気持ちよさそう。

8.seacret cm★★

冷たいギターは残響ばかりで密度が薄く、ボーカルも旅人並の囁き、それでいてテンポは速めの。
歌詞も珍しく分かりやすいものになっているが、メジャーへの迎合と言うよりは配置上必要な曲。

9.moment A rhythm(short Ver.)★★★

ゆったりとしたテンポで15分を越すこの曲のみで3000円もするシングルを発売し、局所的に物議を醸した作品のショートバージョン。
ツインボーカルも高速ドラムもない、ドラムがすこしずつ音量を上げていって突入するサビは結局マイルドな流れ。
全体として静の曲なのに、ここまでリスナーに植え付けてきたいつ裏返るかわからない不安が、
直ぐ隣に激しい動が存在するように感じさせる。

10.mib126★★★★

前曲までの流れをつないで深く進むが、2:43で反転。
溜まった鬱屈を一気にかき出すように、Cメロの絶叫に帰結するアルバム全体のリスト構成が見事。

総評.★★★★

凛として時雨のファーストメジャーアルバム。
全体的に安定し骨太くなったのは今後を考えればプラスなのだろうが、#4の危うさが戻ることはないと確信させてしまう寂しさも。
また、意味のある歌詞が増え、詩世界が意味を持ち始めたことで、声を一つの楽器とするカオスな詩世界は薄れた。
ベースヴォーカルで高音に手が届く345とやけに手数の多いピエールという強力な飛び道具を要していながら、
今後TKが二人の有用性を見失ってしまうのではないかという一抹の不安を感じさせる。くるり的展開はご容赦願いたい。
アニメのタイアップに使われそうな曲が多い気が、そうなったら爆発的に人気が出そうな匂いはある。
今までのファンは一気に離れるだろうが、さてソニーの思惑はいかに。

(★:2点,☆:1点の計10点満点。)

24th.283-285 : 名無しのエリー2010.11.11.

1.I was music★★★★★

男が裏声でささやく歌い方が気持ち悪いことこの上ない。
そこに、16粒のノイジーなベースと浮遊感のあるギターアルペジオが乗っかってくると開幕、凛として時雨。
歌詞は散文的で、気に入ったフレーズを使いまわすタイプ。これまた歌い方とあいまって気持ち悪い。
歌詞カードでは普通に日本語表記、でも奈須きのこなら
「いいよ おかしくなって」「いいよ おかしくなっテ」「キョうは誰niナッテ!!!」「きみをうちぬこうか――」
一言つぶやき、直後ベースが鳴らして暗転、瞬間の静寂の後一気に開放するサビ。

2.シークレットG★★★★☆

TKの囁きに余裕が見られるようになったと感じさせる2曲目。
前作以上に囁いている気がするが、曲の圧力自体はまるで落ちていない。
サビでの金切り声と、呼応するかのようにそれを上書きする女性ヴォーカル。いわゆる「らしい曲」
らしいと言えばリズムキープが念頭に無い変態ドラム。特に2:16からのハイハットは合っているような合っていないような。だれか頼む。

3.シャンディ★★★★☆

雨漏りをブリキの缶で受け止めるような硬質のピアノが徐々に増えて行き、
いたるところに散らばるノイズが感情を不安定にさせるポストロック。
終盤のサビで激しさを増して、雨漏りどころか豪雨に窓を全開にしたようなぶっちゃけ感が心地よい。
皆この手の構成にそろそろ手を出すと思っていたはず、うまく自分達の曲に昇華・融合出来ており、こちらの予想より伸びてきた印象。

4.this is is this?★★★★☆

X JAPANな美しいアルペジオに相変わらず気持ち悪い囁きが乗って生ハムメロンのような中毒性を持つイントロ。
静と動のどちらにも触れないようなギリギリを綱渡りしてきて、一気に空気の密度が下がった所に飛び込んでくる大サビ。
曲の作りだけで、初めて聴いた人にも「ここからくるぞ」と確実に感じとらせる。
果たしてそこからちょっと溜めて、その次もまたちょっと焦らされた―、とガッカリした所で一気呵成にクル。
熟練の風俗嬢のような試合巧者。

5.a symmetry★★★★☆

前曲を静で閉めて、その印象を断ち切って轟音ギターで入った、曲の間の若干の空白さえも利用した、アルバム中もっとも破壊力のある曲。
大サビでイントロと同じフレーズの轟音ギターに同化する叫びの割れ方がギターの音色に似せてあって、
「こういうのもあるのか」と3ピースの密度の上げ方をまた一つ知った一曲。

6.eF★★★★

きらびやかなアコースティックギターのストロークがリスナーの目測を狂わせる。
気持ち悪いことでおなじみの、歌なのか呟きなのか、まあ歌ということでいいかな、という呟きが最後までアコギと共に流れていく。
終盤の3曲で畳み掛けるため配置されたバラードなのかバラードじゃないのか、まあ秦君に歌わせたら普通に熱くなりそうだなという曲。

7.Can you kill a secret?★★★★

初期の時雨代表曲「想像のセキュリティ」を彷彿とさせる変則的で鋭角な曲。
ドラムとベースとギターとヴォーカルが、「こういうのをナンバガっぽいって言われたのかな」なんて考えてしまう。
それとは別にLUNASEAっぽいって言われてるらしいが、TKがRYUICHI並にナルシストっぽい歌い方をするからか。何故か。

8.replica★★★★☆

オルタナなイントロで、最終局面に来てまだ球速を上げてきたが、やはりいつもの時雨。
と思わせて1:22で再度オルタナな顔を見せて、1曲目から見せて来た「時雨の曲ならばこうくるのが妥当」という展開を裏切った。
ように見えて4、そこさえも転調してくるのだろうとこちら側も予想しているため結果として双方の思惑通りで両者得する一曲。

9.illusion is mine★★★★

ディレイがかかり過ぎて単純にコードストロークしたくらいに編みこまれたアルペジオの美しさはロッテの紗々並。
最後はまさに劇場型。魅せることを目的として、自分で盛り上げて自分で消火する様は旧ロッテのコバマサ並。

総評.★★★★☆

曲ごとの戦略と、アルバム全体の流れを考えた戦術がことごとく嵌まっている快作。
余力を残したまま終える9曲、聞き手が疲れきってしまうギリギリを見極めている。時雨処女も安心。
狙った通りにコントロールして、思った通りに聞き手を惑わして、確実に時雨がレベルアップしていることが確認できるが、
上手くなったのは魅せ方だけではないかという点が不明。
ほとんどの曲はドラムが速度超過をすることを前程に作っているのか。
それともレコーディング中にドラムのピエールがいきなり突っかかっても直ぐに二人が対応できていると言うことなのだろうか。
どちらにせよ素晴らしい出来栄え。
信者レビューになったがファンではないので的外れなことを書いていたら申し訳ない。あと、そんなに野球好きでもない。

(★:2点,☆:1点の計10点満点。)