* アーティスト名 : りる・びー

21st.36-41 : 名無しのエリー2009.03.03.

1.キミに歌ったラブソング★★

ハーフタイムシャッフルの爽やかラブソング。
いきなりラップが入ってくるのでビビる。片方ラッパーだったのか。これは下手だ。
一方の歌は昔の小室系みたいな鼻にかかった甘い声で、なんか全然抑揚がない。これまた下手。
なんかRSP以上にデビューの経緯が分からん。
曲もサビメロこそ耳馴染みが良いものの他はベタでアレンジもやっつけ仕事。
一応歌の下手さ加減とストレートな詞の連動で、ある種の一途さを感じる曲か。
「待ち疲れたキミの背中 強く抱きしめた どんな痛みさえも吹き飛ばしてくれた温もり」という一節が興味深い。
普通「待ち疲れて冷えたキミの背中を私が温めるよ」な展開だが、この曲では自分が待たせといた挙句相手から温もりを頂戴している。
こういう自己中心的な感じがわがままティーンの共感を呼んでいるんだろうか。
ちなみに本人の全曲解説(あらゆる意味で必見)によると、
若くして亡くなった親友への歌を「ラブソング」というオブラートに包んだものらしい。
なんていうかもはや仮に本人が聴いたとしても伝わらない気が。

2.BLUE SPACE

ラッパーAILAが作詞した、一気に暗くなる孤独ソング。
「嗚呼…暮れる街 一人の帰り道」「ふらり立ち上がる 夕日を背中に」と、何だか渋い作詞。
一方ボーカルMIEに肺活量が無いため、サビではそこで切ったらイカンだろというとこでブレスが入る。高音もカスカス。割と台無し。
二人の力が合わさるとき、相乗効果でさらにダメ。
曲はセクシーアイドルが本業の片手間に踊りながら歌うようなベタなマイナー調ポップス。

3.願いごと一つキミへ★★

またもやハネモノのラブソング。詞も大差ないような…。歌もラップもプロとは思えない。
作曲が武器なのかと思えば、実はLil'Bは1曲も書いてなかったりする。
ちなみに全曲解説を読むと本人達が作曲してるような口ぶりになっている。去年デビューしてすぐ売れたイケメンバンドみたいだ。
作曲はコナミの有名音ゲーに楽曲提供している黒光雄輝なる人物が全曲担当しているが、
基本この人のアレンジはやる気がなく、曲も何の特徴もない。
とはいえこの曲は相対的に良い方に入る気がする。たまの「日曜日に雨」みたいなランランアウトロが印象的。
ちなみに全曲解説によるとこの曲はAILAが大好きな母に宛てた歌という事らしい。
母とかママとか一回も出てこないが。ラブソングにしか聞こえない。まあ母への歌だとして、キミとか呼ぶ時点で相当他人行儀では。
チャットモンチーとか、傍目にはダサくても誤魔化さずに家族にきちんと伝わる形にしてた気が。
本人に伝わることよりもたくさん売ることを優先した例。

4.オレンジ

黒光のやる気のなさ全開のスカ調ポップス。打ち込みと思われるブラス音がショボすぎて切なくなる。
ドラムパターンもかなりぞんざいで、ベースラインはもうどうせ誰も聴いてねえだろと言わんばかりの手抜き。
そして全く音量の強弱のないピアノソロ。
打ち込みの普及でスタジオミュージシャンの仕事が減りつつあるとは聞くが、ついにここまで来たか。これも時代の流れか。
詞は「オレンジ」という言葉の持つイメージに委ねる形で「キラキラなオレンジ」「じんわりなオレンジ」などと出てくるが、
「ゆらりゆらオレンジ」がよく分からなかった。ゆらりゆら帝国産オレンジ?

5.JET★GIRL

舵取りを誤った後のアヴリルに便乗したような軽薄なガールズロック。サビの英語の発音がムカつく。
なぜか本人達の年齢が非公開のようだが、詞は地なのか十代への媚びなのか、露骨にギャルの共感を狙った底浅いものになっている。
強烈。ラップの合いの手もかなりキツイ。「マヂだるい...」とか「始めよおょ!」とかが好きならどストライク。
MIEのブログ見て「ムリ以外の何物でもない」と思うなら聴き切るのは厳しい。
ただ、さすがにギャル語をそのまま詞にして歌うプロは思い当たらないので、そういう意味ではついに現れたギャルのカリスマかも。

6.HAPPY SHINING STAR★★

ダメパフューム路線のダンスポップ。一応MIEも音符短めな感じに歌い分けている。むしろ彼女は肺活量がないので丁度いい。
黒光のアレンジは基本的にベタだが、この曲では2番くらいから徐々に、普段使わない音や機能を使ってみようのコーナーになりだす。
黒光のリアルな飽きを感じる曲。

7.lil luv★★

微妙に8BIT音を交えたエレクトロ調ポップス。
構成とかサビ前のキメやブレイクとかがJ-POP過ぎるのだが、AILAのラップはちゃんと必然性があるというか、もはや上手く聞こえる。
8BIT音にラップという組合せが新鮮なせいか。
一方、MIEの鼻声はここで何らかの到達点をみる。いくらエ段が混ざっても、桜がセクラに聞こえる人はかつていなかった。
何かと掛ける意図があるのかと思ってググッたら、
「新しい太陽の書」(ジーン・ウルフ著)に美しい女城主のセクラという人物が登場するようです。この人ですか?

8.15

M2にちょっとレゲエ風味をつけたようなマイナー調ポップス。
スーファミの音楽作成ソフトで作ったようなこのショボい音はどうにかならないんだろうか。
「お前らにはこれがお似合い」という黒光の皮肉だろうか。
ナメられるLil'Bにも勿論問題はあるが、結果こうして売れて、
黒光のパブリックイメージがこの作品で決まるに至ってしまったことを考えると、やはり真面目に作曲すべきだったのでは。

9.kiss

ノイズまみれのラップから始まるスローなR&B。
ラップでは、韻を踏むためとはいえ「偶然じゃない そうありえない 予想外の出逢い」という意味の重複にイラッとくる。
そして何をおいても歌の力不足にイラッとくる。あまりに一本調子。
鼻声のせいで「好きにならない」なんだか「好きになれない」なんだか分からずにイラッとくる。
セクラはまだしもこれ両方意味が通るしなあ…。黒光が手を抜くのも無理からぬ事か。
ちなみに全曲解説によると、MIEは詞をよりイメージ通りに表現するために、
曲のイメージを何日もかけて膨らませてからスタジオ入りするらしい。結果歌詞からして聞き取れないんだが…。
本人的に鼻声のほうがカワイイから、詞を伝えることよりそっちを優先してるようにしか思えん。

10.となりのメロディ★★

AILA作詞によるポジティヴなポップス。詞はAILA単独のものの方が良いかも。
またハネモノかという気もするが、色々聴いた結果この手の曲が一番音が埋まって聞こえるし、歌唱のアラが気にならない気がする。
Lil'Bの詞と黒光の曲、どちらが先なのかは分からないが(普通に考えればLil'Bのはずだが)、両者の現実的な妥協点はここか。
キミうたとかががこんな感じばっかなのも仕方ないのかも。
ちなみにここまで触れてこなかったが、黒光のコード進行はGND並にパターン化している。

11.キミが好きで

ひたすら好き好きな分かりやすいラブソング。ハネモノ連発。
MIEの歌い方は作中の流れ同様、一貫して湿っぽく、明るいラブラブ感があんまり出てない。
ラップも間延びしてて何か変。ベースも音を切りすぎててノリが止まって聞こえる箇所が多く、何か納得いかない。
ていうかもうこの辺まで聴く頃には低レベルな曲に耳が慣れて、ちょっとでもいい所がある曲は全部良い曲に聞こえてきて、
さかのぼって星を足し直したくなってくる。
なんか前にもこんな事があったような…誰だっけ…ああ、顔が思い出せない…。
枝豆みたいなのに4つの人影がぶら下がってる絵しか浮かばない…。

12.DEAR…

ラストはピアノアレンジだけ黒光がやる気を出した普通のポップス。
歌詞もかなり気合が入ってるようでボリュームがあるが、なんかベタで量の割に中身がない。最後まで聴かせる表情豊かな歌唱力もない。
ただ長い。もう良い曲なんだか悪い曲なんだか分からない。
なんかZOOの弟分のDeerっていたなあと思う曲。

13.キミうた3部作(DJ KAORI's Lil'B girls mix)

ボーナストラック。なんか曲名にキミがつく3曲を繋げて、たまに「DDDD~J~ケウォーリー!」て叫んだ曲。
復習だが、M1は死んだ親友、M3は母に宛てた曲なので、ラブソングはM11のみ。
テーマはバラバラ。しかし繋げて違和感が無いのはどうなんだろう。
ミックスといってもほとんど繋げただけで、むしろベースに手を加えて違和感が出たりしてる。
キミうたという括りが良く分からないが、多分
「君は人のために死ねるか」はキミうたで、「LOVE YOU ONLY」はキミキミ言ってるけどキミうたではないのだろう。
グラビアやってる頃の眞鍋かをりが「ウォーリー」というニックネームで売り出してたことを思い出す曲。

総評.☆

ボーカルMIEとラッパーAILAによる2人組ユニット、Lil'Bの1st。
着うた世代の絶大な支持で百万単位のダウンロードを達成してはいるものの、歌、ラップ、曲、アレンジ、どれをとっても首を傾げる出来で、
CMでサビだけ聴いてるうちが最も印象が良かったという残念な内容。
シチュエーションを絞り過ぎない普遍的で分かりやすい詞とギャル要素全開な詞とのバランスが十代の女子にウケているといった所か。
少なくとも曲はお洒落とは言い難いが。
もう一つ重要な点に、着うた適性というのがある気がする。
大抵のアーティストの曲は着うたとして携帯から鳴る際には低音が痩せて曲のイメージがガラッと変わってしまうのだが、
Lil'Bは曲が軽いので印象がほとんど変わらずお得なのでは、と思う。
結果的にこの路線を(たぶん偶然)発掘したGReeeeNに続く着うたアーティストとして受け入れられた印象。
まあこういう人が続くと伴奏聴く人が減って奏者が育たなくなる気もするが、それも時代の流れか。
あんだけ大輔が手を抜きまくったGNDでも、コレよりはまだちゃんとしてる気が。
レコード会社のゴリ押しに流れる方が口コミで盛り上がったアーティストを聴くより確実という皮肉な結果に。
本人による全曲解説も曲中から読み取れない設定満載で、後付けがヒドイ。
本当に裏設定があったとしても言わずに通した方がよかったのでは。
例えばアジカンとかにとってのロキノンも補足説明の場で、
実はこんな意味です的な種あかしで「そうだったのか!」と思わせる戦略がジャンプの格闘マンガみたいだと思う節もあるが、
少なくとも伏線の見えないとこから裏設定を引っ張ってはこないと思う。
総じて、無数にいるアーティストの中で、何故よりによってこの人達が表舞台に引っ張り出されてきたんだろう、という印象。
GReeeeNとRSPの要素を兼ね備えるなんて夢のようなアーティストだ、と思う人にお薦めの1枚。

(★5個が満点。☆は0.5点評価(?)。)